『シルクを編む』
編みものに興味を持ったのはいつだったか、物心ついた頃には母がマフラーを編んでいるのを見て私もやってみたいと思ったりしていた。
小さい頃は全く上手にできなくて、滅多に完成したことはなかった。
手袋が欲しいと編み始め、手首の部分で挫折したり、ポーチを作る予定が、なんだかとても大きな袋ができたりしていた。
それでも別に楽しかった。
だから今もこうして編んでいる。
ニットだけではなく、籠や座面を編んだ椅子や織物も好き。なんかそういう絡み合ってるのが好き。
英語ではknit(棒編み)に対して、crochet (かぎ針編み)と明確に区別されていて、籠を編むときはweave と言ったりする。
髪を編むときはbraid。
日本語では全て〈編む〉なのが不思議だ。
「舟を編む」という小説に出会ったとき、こんなお洒落な使い方があるのかと思った。
私は今〈編みもの〉に夢中なのだ。
材料は安いものではなく、信頼できるところから買いたかった。
手芸屋などを回っているうちに、一つの店に辿り着いた。
まだ毛糸になる前のウールや、糸車も取り扱う店で、カラフルな糸が壁一面にずらりと並んでいる。私は魔女(白雪姫の魔女じゃなくて、キキのお母さん)が店番をしてそうな雰囲気だなあと思っている。あの店に入ると時の流れがゆっくりに感じる。そして何度訪れても心が躍る店。
その店でシルクリボンと出会った。
シルク独特の光沢とクシャっとした質感、時々混ざっているカラフルな糸やラメの煌めき。
めちゃくちゃタイプ。
インドの民族衣装:サリーを縫製する過程で生まれる端切れを裂き、縫い合わせて長いリボンにしているのだと店のお姉さんが教えてくれた。
ストーリーを聞いて更に好きになった。
材料を無駄にしない、その心も素敵だし、私はサリーを着ないけれど、彼女たちに思いを馳せることができる。
どんな女性が着ているのかな、どんな人がシルクを織ったのかな、だれが染めたのかな。
そういうことを妄想しては、にやにやする。
いつかインドに行って、「これはサリーの端切れで編んだのよ!」って伝えたら、喜んでくれるだろうか。